顕彰会会報寄稿
菅茶山顕彰会会報 第27号
 菅茶山生誕270年記念事業 全日程終了 

 式典・朗読劇・復刻版etc
写真は会報のものと異なります(編集都合により)

 平成30年11月10日、好天下、神辺平野を抱く山脈に見守られ、菅茶山生誕270年記念式典が神辺文化会館小ホールで行われた。
衆議院議員小林史明氏ら来賓を初め、約180名の出席者がロビーで茶山ポエム絵画・イラスト画展示作品の歓迎を受け、祝賀会場に臨んだ。
*写真①ポスター
     
                             来賓献花

 
第一章 祝生誕270年記念式典

 ①式典~遺芳を偲び更なる顕彰活動を~
 
定刻13時、開式宣言。初めに式場正面に飾られた菅茶山肖像に向い鵜野会長ほか理事、次いで来賓らが拝礼、白菊献華。
 鵜野実行委員長式辞(巻頭掲載)。全国各地を次々と襲った豪災害の復興支援活動に菅茶山の思想と遺芳を偲び、更なる顕彰活動の継続を誓い、参列者一人ひとりの協助を求めた。

 来賓祝辞。最初に登壇した衆議院議員小林史明氏は、人口減、大都市集中化が進む中で、茶山のような目標となる先輩に学び、足許を見詰め、明確な判断力に基づく住みやすいふるさとづくりを 熱っぽく訴えた。
次いで、枝廣直幹福山市長(代読)、宮澤洋一参議院議員(ビデオメッセージ)、松岡宏道広島県議会議員、榊原則男福山市議会代表の祝詞が続いた。
来賓各位ならびに参列者の皆々様方には、公私ともご繁忙の砌、ご来臨賜り、五年に一度の祝典を盛り上げていただいたことに主催団体として深甚の謝意を捧げたい。

 ②「献吟」&詩舞 錦城流神辺支部
    
茶山・山陽唱酬詩in丁谷梅林etc

 小休憩後、錦城流神辺支部長綿谷城魄氏のビデオ解説付で次の献詩と詩舞を披露した。
・冬夜讀書 雪庇の山堂 一穂の青灯に萬古を懐ふ
・宿生田with詩舞 生田の宿 忠臣楠氏の自刃を悼む
・本能寺 総大将明智光秀 真の敵は本能寺に在りや
・茶山・山陽唱酬詩in 丁谷梅林,
 茶山 笻を停め 山陽頻に顧みる。梅花香裏 夕陽傾く
*写真②献吟
     


 ③記念講演「地方時代の象徴・菅茶山」
  
講師 岡野将士氏(県博 主任学芸員)

 自ら廿余年にわたって携わった「菅茶山関係資料」調査・研究・整理に基づき、地方で中央の学問政策を体現しようとした茶山の事蹟、「廉塾」周辺について、画像を添え分りやすく説明した。(要旨 19㌻掲載)
*写真③記念講演
     


 ④閉会の辞 藤田副会長 

 講師謝辞と参列者への深謝。HPでも検索可能な茶山情報の紹介とふるさと創生の先駆者茶山の更なる顕彰活動のため一人でも多くの会員・ボランティアの入会を呼びかけ、この日の祝典を閉じた。

 第二章 市民朗読劇「梅花の契り」
  
高橋孝一氏、十八番の草笛演奏で開幕

 年が明け平成最終年3月2日、神辺文化会館大ホールで朗読劇「梅花の契り」(作・演出 藤井登美子)公演。

 会場ホワイエでは2018年度(第26回)「茶山ポエム絵画展」最優秀作品9点・優秀作品6点に、神辺美術協会新春展に出品された菅茶山詩画書「夏の思い出」(山下英一画)、「所見」「蝶」(菅波由美子書)3点が松岡宏道県議会議員等来賓8名、開場前から長蛇の列、当日券を求める来場者などを熱烈歓迎。 

 14時、鵜野実行委員長あいさつ、来賓紹介。観客の大きな拍手に誘われ、お馴染み高橋孝一氏、草笛の開幕演奏。
市内朗読劇グループ「温故知新の会」(代表北川佳代子)&福山市立大演劇サークル(代表山下歌菜子)。主人公茶山役は藤岡詔雄さん。知名人・隣人・友人・顕彰会役員ら顔馴染みの登場に観客が微笑しながら巨星茶山八十年の生涯を追慕した。
写真④朗読劇
   フィナーレ


 江戸時代後期、幕藩制度は貧しい民衆から教育を奪った。茶山はその不合理を糺すために「廉塾」を開設、備後の地に、やがては全国各地にも広がる「学種」を蒔きつづけた。
巨星が置かれた三つの岐路①茶山19歳京都遊学後帰郷、人心の廃れた神辺宿を学種による世直しを指向、黄葉夕陽村舎開設。②茶山34歳、刎頸の友、西山拙齋と共に天明の大飢饉前後の幕藩政治批判から、藩儒として一人でなく天下のための天下を理想郷とする迂遠法への転換③茶山62歳、親友賴春水の嫡男、脱藩・廃嫡された山陽を廉塾都講として引き受けたものの我儘放題、実質一年二カ月で脱去。三年間にわたる不和が続く中、やっと和解の時が訪れる。

*茶山77歳、茶山・山陽唱酬詩in丁谷梅林
「樹、静かならんと欲すれど風やまず。子、養わんと欲すれど親待たず。」これから先、先生から坏を受ける時があるだろうか。それを思うととても返杯しがたい。山陽は別れがたい気持ちを振り切って、静かに暮れなずむ梅林を後にした。

 胸キューン、万雷の拍手喝采の中菅茶山生誕270年祭全記念事業の幕も降ろされた。

 
第三章 菅茶山顕彰会会報復刻版発刊
     
報道各社が強力エール放唱

 もう一つの記念事業、会報復刻版発行。当初、既刊28号までの出版計画。各号から5つのジャンル別に4~5㌻分の記事選別作業を進めていた。中途、格調高い先輩の論文や寄稿文を割愛する非礼を避けるため、急遽20号まで書籍版、21号以下は同時進捗中のHP電子版(全号)に委ねる計画変更。
菅茶山ミニ全書を目指した当初案中、菅茶山肖像画・珍しい自画賛像などをグラビアに、菅茶山略年表・墓碑銘・墓所・家系図などを附録として採録、裏表紙を方円の手水鉢で納めた。

 10月17日、鵜野会長以下三役が市役所市政記者クラブでプレスリリース。記者の皆さんに多忙な時間を割いてもらい272㌻に及ぶ分厚い「復刻版」を前に、記念祭、朗読劇をお上乗せ、懸命の紹介に努めた。
有り難いことに中国・毎日・産経・読賣・朝日・山陽新聞各社の他、神辺観光協会広報誌、井原放送などがインパクトのあるバックアップ。
同時進行の県立歴史博物館・ふくやま書道美術館・菅茶山記念館などの協賛展示会とセットで大々的に報道。お陰様で菅茶山について広く地域住民の関心と話題を呼び、記念・協賛事業の趣旨や集客面で、この上ない力強い応援歌となった。
*写真⑤プレスリリース記事
 
  


 復刻版は、記念式典後早速、三役・理事等が手分けして、広く近郊の図書館、大学・高校・町内小中学校、公民館等に寄贈した。一人でも多くの人に読んでもらえることを希っている。また、本会としても、今後の学習会資料として活用する計画案が浮上している。